2018年3月22日木曜日

火星漂流記1

ディストリクトK67は、360度山に囲まれている。空を見上げると、山の端から被せられたドーム状のスクリーンに青空や雲が映し出されている。
空は時間によって変化し、季節の変化もある。時には雨が、時には雪が、時には風が吹く。川の水量も、蓄積データに基づいたアルゴリズムに基づいて調整されている。
夜には、その季節のその時間の夜空の星々が輝く。それは、地球から見た空であり、地球から見た夜空である。
火星は、地球からやってくる植民が違和感を持たないように、限りなく地球に似せて環境が整備されている。しかし、当初はそっくりだった環境も、火星人たちによって破壊が進んで、今では、地球人の移民たちには受け入れがたいほど荒廃が進んでしまった。

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