2014年1月20日月曜日

<4>


細川都知事が示したシェールガス発電所のパースは都民の反響を呼んだ。それはまるで、ディズニーランドと見紛うばかりで、発電所らしい建屋は何処にも見当たらなかった。宿
泊施設は緊急時の避難用とされ、食料の備蓄も十分だった。

さらに、オリンピックがもたらすと試算された経済効果2兆円を凌ぐ年間1兆円の経済効果にも注目が集まった。しかし、最も都民の注目を集めたのは、これまでの10分の1という桁違いの電気代の安さだった。


都内の中心部にある発電所から都内に送電するわけだから安いのは当然だが、都内の送電設備を都が保有する株との等価交換で東電から買い上げ、月々の固定費をなくしたことも大きかった。


都民は、代々木に完成する予定の競技場のパースとアミューズメントパークの2つのパースを見比べ、都民投票を行う事になった。結果は、投票前から誰の目にも明らかだった。こうして、オリンピックは東京に次ぐ票を獲得したイスタンブールに譲られ、世界中から賞賛を浴びることになった。被曝の心配のない国でオリンピックが開催されることを希望するアスリート達からも、この案が大歓迎されたこともオリンピック譲渡を決める大きな要因だった。2014年12月25日のことだった。

0 件のコメント:

コメントを投稿